MathWorksのライセンスを理解する

実のところ、技術系ソフトウェアライセンスの管理は簡単な作業ではありません。Microsoft Officeのような一般的なソフトウェアを扱うライセンス管理者は、ソフトウェアの高度なスキルを持つユーザーと、月収や年収を超えるほど高価なこともあるライセンスのコストとのバランスを確保することの複雑さを理解していないのです。技術系ソフトウェアの市場規模は非常に多く、何千もの製品とベンダーが存在するため、組織のソフトウェアポートフォリオの全製品を最適化出来る専門家が存在しないことはほぼ間違いありません。ツールセットの中には、様々な使い方ができ、ユーザーの要求も異なるため、特別な注意が必要なものがあります。そのようなものを提供するベンダーの一つがMathWorks社です。LicenseAnalyzer 2022が提供する支援以上に、MathWorksのライセンス管理について支援を求める企業が非常に多かったため、MathWorks向けのポイント・ソリューションを開発したのです。  

企業は、主要なソフトウェアツールであるMATLABとSimulinkのためにMathWorksに投資しており、それらのライセンス管理は簡単なはずだという印象を持っています。しかし、MATLABのDeep Learning ToolboxからSimulinkのDesign Optimization Toolboxまで、いずれの製品とも組み合わせて使用できるツールボックスが充実していることが、複雑さを生み、コストを上昇させる要因となっています。それぞれのツールボックスにはコストがかかります。一方でSimulinkの要件定義や物理モデリング支援からMATLABの数値計算やAIアドオンまで、ユーザーの業務の価値を高めます。それぞれのツールボックスが組織にとってどのように役立つかを本当に理解するためには、次の2つの視点から問題を評価する必要があります。  

  • MathWorksの利用者、MATLABやSimulinkの利用頻度、アクセスするツールボックスなどの情報。
  • 過去のツールボックスの使用実績、保有されているライセンス、真のニーズに合わせて縮小可能かどうかの情報。  

これらのテーマについて、2回にわたるウェビナーシリーズを実施しました。このウェビナーは、この記事の最後に記載されているリンク先で登録すると再生することができます。こちらのウェビナーでは、MathWorksの最適化達成のための戦略を段階的に説明しました。本ブログでは、最初のライセンス契約書から効率化を図るために、重要な人的側面について説明します。

契約違反の回避

ユーザーがログインしてライセンスをロックした後、そのライセンスを返却するのを忘れるライセンスホギングについては誰もが経験したことがあるでしょう。これに対する標準的な対策はライセンス解放することです。MathWorks社との契約では、ライセンス解放は禁止されており、それを行った場合、お客様は違反となる、という異例の事態が発生したのです。この障壁をどのように乗り越えたかは、最初のウェビナーで説明されているので、ここでは明らかにしませんが、契約によってソフトウェアの使用に制約が生じる可能性があることに留意してください。

MathWorksのライセンス使用状況に関する文化を変える

「企業文化は戦略に勝る」というのはピーター・ドラッカー博士の言葉ですが、ソフトウェアライセンスの生産性と経済性を両立させる方法について、ユーザーに情報を伝え教育する際には、「アメとムチ」のアプローチをお勧めします。多くのユーザーは、アプリケーションにログインするたびにコストがかかっていることに気づいていません。会議中や夜間でもログインしっぱなしにすれば、翌朝に出社したときにアプリケーションが使える状態になっており、企業の収益に大きく影響します。社員に何の説明もなくライセンス解放を強制するのではなく、ソフトウェア解放の方針を立てそれを説明し実行する。確かにこれは「ムチ」のアプローチですが、そこでは反発よりもむしろ協調性が生まれるのです。

また、不必要なコストを削減する上で効果的な方法の一つがソフトウェアを利用するビジネスユニットに毎月のチャージバックを導入することです。請求書を前にすると、プロジェクトマネージャーや部門長は自分の担当エリアのコストが劇的に減少するようにコンプライアンスを徹底します。この場合も、事前に相談した上で実施する必要があります。チャージバックの使用状況とコストを実際に確認するには、LicenseAnalyzer 2022,のようなライセンス管理ツール、またはこの場合は Analyzer for MathWorks® Licensingが必要です。表計算ソフトではできない仕事なのです。

ユーザーを理解する

ほとんどの技術系ソフトウェアは、同時使用ライセンスで効果的に管理することができます。お客様の組織に適したライセンス形態は、お客様独自のビジネスモデルに大きく依存しますが、最適なMathWorksソリューションには複数のライセンス形態が必要であることが分かるかもしれません。例えば、MATLABやSimulinkにすぐにアクセスできる、非常に熟練したパワーユーザーがいる場合、専用の使用を許可するネームドユーザーライセンスがおそらく最良の選択肢です。(ですが、専用ライセンスが必要かどうかを履歴使用状況に基づいて分析してください。)

時々使うユーザーから適度に使うユーザーまで、その他のユーザーは、MathWorksが提供するネームドユーザー、コンピューター指定、または同時使用ライセンスのいずれかを介してアクセスすることができます。さらに、大企業に適したライセンスもあります。使用状況に基づいてユーザーを分類し、どのユーザープロファイルに当てはまるかによって料金が上がります。

詳しい説明は第1回目のウェビナーで行っていますので、ここでは詳しく説明しませんが、ツールボックスコストの最適化について深く掘り下げる前に、どんなタイプのユーザーがいて、どれくらいの頻度で製品にアクセスしているか、どの製品が本当に必要かを評価することが重要です。

MathWorksのライセンス使用状況を把握する

Open iTのポイント・ソリューションはMathWorksのツールボックスの使用状況の履歴を詳しく提供します。レポートによってアイドルライセンスや過剰購入をすぐに確認することができます。ベンダーとの話し合いの後、MathWorksのポートフォリオからこれらのライセンスを削除することができます。使用状況がごくまれなら、製品を実際に使用したのか、あるいは必要なく偶然にログインされたのかを判断する必要があります。また、特定のツールボックス(あるいはMATLABやSimulink)のライセンスの不足に気がつくこともあるかもしれません。もし、これがライセンスのピーク需要の問題や世界中を飛び回る多国籍企業において使用時間が重なるという問題でなければ -これらはどちらも管理することができます- 追加ライセンスを取得する必要があるかもしれません。しかし、ユーザーは通常、アクセス拒否に気づくとすぐに、もっとライセンスが必要だと明言するでしょう。

ツールボックスの最適化については、第二回のウェビナーでかなり明確に説明されているので、今回も詳しい説明はしません。各ウェビナー(各約35分)をご覧いただき、MathWorksのライセンスコストを節約する方法について深くご理解いただくことをお勧めします。

第一回:MathWorks Toolboxes: How to Optimize in any Licensing Model 

第二回: Implement a Cost Reduction Strategy for your MathWorks Toolboxes 

「これらのWebinarは英語で実施されます。日本語の翻訳はありませんので、予めご了承ください。」 

また、無料デモを予約して、MathWorks ライセンスをどのように最適化できるかを確認することもできます。

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